スポンサーサイト
R18BL小説『ESCAPE』(322)
R18/BL小説 『ESCAPE』
epilogue「至愛」
322ページ
更新しました。
*****
この本は、僕が生まれた頃に書かれている。
主人公と、女性の名前は違うけれど、確かにこれは、父さんと母さんの話だと思う。
確かに、父さんは僕を愛してくれていた。
もしかしたら、生まれた時から、一人の人間として。
僕は、母さんの代わりなんかじゃなかったのかもしれない…。
「… なんてね。」
全部、僕の妄想に過ぎない。
タキさんからの手紙にはいつも、口には出さなくても、父さんは僕に会いたがっていると、ひとこと添えられている。
本当にそうだろうか。
父さんは、タキさんと暮らしている今が、幸福なんだと思う。
タキさんは、父さんの仕事のマネージメントを含む、助手をしている。
僕が、生まれる前からずっと。
家政婦と、勝手に思い込んでいたのは、僕。
そして、父さんが母さんと出逢うよりも、もっとずっと前から、
・・・・・・続きを読む?
表紙から読む?↓
ぽちっと↓
▼ 雑記memo …
【clap】イラスト&SS ★HP/★blog top
epilogue「至愛」
322ページ
更新しました。
*****
この本は、僕が生まれた頃に書かれている。
主人公と、女性の名前は違うけれど、確かにこれは、父さんと母さんの話だと思う。
確かに、父さんは僕を愛してくれていた。
もしかしたら、生まれた時から、一人の人間として。
僕は、母さんの代わりなんかじゃなかったのかもしれない…。
「… なんてね。」
全部、僕の妄想に過ぎない。
タキさんからの手紙にはいつも、口には出さなくても、父さんは僕に会いたがっていると、ひとこと添えられている。
本当にそうだろうか。
父さんは、タキさんと暮らしている今が、幸福なんだと思う。
タキさんは、父さんの仕事のマネージメントを含む、助手をしている。
僕が、生まれる前からずっと。
家政婦と、勝手に思い込んでいたのは、僕。
そして、父さんが母さんと出逢うよりも、もっとずっと前から、
・・・・・・続きを読む?
表紙から読む?↓
ぽちっと↓
▼ 雑記memo …
【clap】イラスト&SS ★HP/★blog top
- 関連記事
-
- R18BL小説『ESCAPE』(323) (2015/06/13)
- R18BL小説『ESCAPE』(322) (2015/06/12)
- R18BL小説『ESCAPE』(321) (2015/06/11)
R18BL小説『ESCAPE』(321)
R18/BL小説 『ESCAPE』
epilogue「至愛」
321ページ
更新しました。
*****
久しぶりに降り立った懐かしい駅は、
あの頃、修復工事をしていた、木の温もりがあった駅舎も、もう昔の趣きは感じられない。
中学へ行く途中に渡っていた、すぐ側の踏み切りも無くなって、いつの間にか高架になっていた。
電車を降りて、改札を抜け、駅前にある横断歩道は、前は無かった信号機が、誘導音を鳴らしている。
信号機が点滅する横断歩道を、走って渡ると、
小さな路地を入った数メートル先に、斜面に沿って続く、長くて急な石の階段がある。
ずっと先にある女子大の学生が、『心臓破りの階段』と、嘆くのをよく耳にしていたっけ。
この階段が好きだった。
不揃いの幅の石の階段は、あの頃のままなのに、
古くなって錆び付いていた手摺が、真新しくなっていて、太陽の光で、銀色に反射している。
きっと、毎日ここを通っていたら気付かないかもしれないけれど、
あれから、もうすぐ6年になる。 その間に、僕の好きだった景色も、少しずつ変わっている。
あの頃、僕だけが変わってしまったと思ったりしていたけれど、
時と共に変わっていくのは、周りも同じ。
・・・・・・続きを読む?
表紙から読む?↓
ぽちっと↓
▼ 雑記memo …
【clap】イラスト&SS ★HP/★blog top
- 関連記事
-
- R18BL小説『ESCAPE』(322) (2015/06/12)
- R18BL小説『ESCAPE』(321) (2015/06/11)
- R18BL小説『ESCAPE』(320) (2015/06/10)
R18BL小説『ESCAPE』(320)
R18/BL小説 『ESCAPE』
epilogue「至愛」
320ページ
更新しました。
*****
好きな人と想いが通じ合うって、こんなに幸せなことだったんだね。
あんなにいつも、何かが足りなくて、あんなにいつも渇いていたのに。
愛って、どんな快楽よりも満たされる。
少し開いたままだった障子の隙間から、そよ風が桜の花弁を運んで、シーツの上に落とした。
ーー ああ…、廊下の窓を開け放したままだったな…って、ちらっと思う。
高い塀があるから、見えないと思うけど、もしかしたら僕の声が、家の前の道まで聞こえてしまったかもしれないな。
「… ふふっ……」
思わず口元を緩めてしまった僕に、教授が艶然と微笑んだ。
「… 思い出し笑いかい?」
荒い息を吐きながら、優しい瞳が僕を見下ろしている。
「…… ん…、世界中の人に先生のことを自慢したいな…って……、ん…」
そこまで言った僕の唇は塞がれて、律動が激しくなっていく。
・・・・・・続きを読む?
表紙から読む?↓
ぽちっと↓
▼ 雑記memo …
【clap】イラスト&SS ★HP/★blog top
- 関連記事
-
- R18BL小説『ESCAPE』(321) (2015/06/11)
- R18BL小説『ESCAPE』(320) (2015/06/10)
- R18BL小説『ESCAPE』(319) (2015/06/09)
R18BL小説『ESCAPE』(319)
R18/BL小説 『ESCAPE』
epilogue「至愛」
319ページ
更新しました。
*****
「… あ…、」
背中の手が、なぞるように腰へと下りて、広がりそうになる甘い快感を逃すように、僕は身を捩った。
「… ダメ …ッ ん…」
だけど、逃げようとする僕の腰を引き寄せながら、抵抗しようとする声は、教授の唇で塞がれてしまう。
僕の閉じた唇を、こじ開けるように舌を挿し込まれる。
「…… ん…… ッ……、」
… 駄目… と、頭の中で浮かぶ弱い抵抗は、絡み合う舌に、流されそうになる。
シャツの裾から滑り入ってくる教授の手に、腰の奥が熱く疼いた。
合わさった教授の身体の中心が、僕を求めて熱く硬くなっているのを感じる。
「…… だ… め…。」
なんとか唇を僅かに離して、訴えた声に、甘い吐息が混じってしまう。
「伊織……。」
・・・・・・続きを読む?
表紙から読む?↓
ぽちっと↓
▼ 雑記memo …
【clap】イラスト&SS ★HP/★blog top
- 関連記事
-
- R18BL小説『ESCAPE』(320) (2015/06/10)
- R18BL小説『ESCAPE』(319) (2015/06/09)
- R18BL小説『ESCAPE』(318) (2015/06/09)
R18BL小説『ESCAPE』(318)
R18/BL小説 『ESCAPE』
epilogue「至愛」
318ページ
更新しました。
*****
キャンバスに向き合うその人の
肘まで捲った制作着の袖から覗く、腕の筋や、絵筆を持つ長くて繊細な指。
少し長めの前髪を、神経質そうに掻き上げる仕草。
見開きに載せられた数枚の写真の、そんな細かいところに、僕は……。
その時の僕は、教授に父さんを重ねてしまっていた。
それと同時に、どこか憂いを含んだような漆黒の瞳や、影のある微笑みが、僕の心を掴んで離さない。
繊細なのに、迫力ある作品の、背景に見えてしまう切なさを、僕は感じ取ってしまっていた。
雨宮 侑 って、どんな人なんだろう。
この人のことを、もっと知りたい。
そう思うと、いてもたってもいられなかった。
あの頃、ただ捨てられたくないと、父さんの大切な本当の子供になりたいと願っていた僕にとっては、
教授との出逢いは、もしかしたら本当の初恋と呼べるものだったのかもしれない。
・・・・・・続きを読む?
表紙から読む?↓
ぽちっと↓
▼ 雑記memo …
【clap】イラスト&SS ★HP/★blog top
- 関連記事
-
- R18BL小説『ESCAPE』(319) (2015/06/09)
- R18BL小説『ESCAPE』(318) (2015/06/09)
- R18BL小説『ESCAPE』(317) (2015/06/07)